「結婚式ってお金がかかりそう…」 「準備が大変って聞くし…」 このように、結婚式を挙げることにあまり積極的になれない方もいると思います。 確かに結婚式は、金銭面でも時間面でも大変なイベントです。しかし、結婚式を挙げるからこそ得られる体験や価値観があるとしたら? 今回は“ふたりにしかできない結婚式こそが、私たちの目指す理想のウエディング”だと語る『THINGS Aoyama Organic Garden.dth』に、実際に手掛けた事例をご紹介いただきました。 事例から見えてきたのは、結婚式を挙げることの意味でした。取材:トキハナ 編集部/文:クリス)
目次
1. 新郎新婦と同じ目線に立ってから見えた、ブレないふたりらしさ
「実は、テーマの提案に1ヶ月かかった結婚式があったんです。」
こう語るのは、今回お話をうかがった『THINGS Aoyama Organic Garden.dth』のプランナーSさん。
その結婚式の主役は、イギリスの美術系大学で出会ったという新郎新婦。
新婦さんは夢だったアートの道に進み、自分の個性を軸にした創作活動をされている方でした。
そのため結婚式にも、トレンドではなく「自分がいい」と思ったものやことを取り入れたいという考えを持っていたそうです。
教師をされている新郎さんには、実は学生時代に絵本作家を目指していた過去がありました。しかし将来のことを考えた結果、2番目の夢だった教師になることを決めたそうです。
そんなふたりのこれまでのことを知ったプランナーさんは、1ヶ月悩んだのち、ふたりらしさを「“彩”と“創”」というテーマで提案します。
テーマの1つ“彩”は、新婦さん担当テーマとして提案。ご自身が持たれている「美しい世界」を、まっさらなキャンバスのような式場に表現してもらうことにしました。
もう1つのテーマである“創”は新郎さんに。ふたりのこれまでとこれからのストーリーを絵本にしてもらうことで、結婚式で絵本作家になる夢もかなえることにしたのです。
おふたりはこの提案に、「わたしたちらしい」と共感。実は結婚式にあまり興味がなかった新郎さんも、このテーマを聞いて俄然乗り気になってくれたんだとか。
「おふたりと同じ目線で“どうして結婚式を挙げるのか”・“自分たちの結婚式でどんなことを実現したいのか”を考えたときに、このテーマが浮かんだんです。」
ふたりの願いは、『THINGS Aoyama Organic Garden.dth』でこれまでに出会ったことがないものだったとプランナーSさんはおっしゃいました。
しかし、結婚式に対するふたりの価値観を同じ目線で考えられるよう新郎新婦とじっくり話を進めた結果、新婦さんがこれまで大切にしてきた美学と、新郎さんが叶えたかった夢をリンクさせるというゴールを導き出したのです。
同じ目線に立とうと最善を尽くしてくれるプランナーと出会えれば、ブレないふたりらしさの軸ができあがることを、この結婚式事例が教えてくれました。
出典: THINGS Aoyama Organic Garden.dth
2. 「ふたりらしさ」が色と物語に乗る。新郎新婦の人柄がにじみでる結婚式
そして迎えた結婚式当日。
人前式の誓いの言葉で読み上げられたのは、新郎制作の絵本。ふたりの人生と夫婦としての未来が、絵と言葉にのってゲストの心にも届きます。
ふたりがゲストに見守られ和やかな雰囲気の中、パーティーは中盤へ。
「ここのテーブルの皆さんには、この色を。」
色打掛を身にまとった新婦さんは再入場時に、色とりどりの花がついた枝ものを各テーブルの花器に生けてまわります。その演出に各テーブルでは、拍手が起こったそう。
プランナーさんはその時の景色をこう振り返ります。
「生け花の演出には、ゲストの口から“彼女らしいね”との声がたくさんあがっていました。一緒につくってきたふたりらしい結婚式は間違ってなかったんだなあと感じた瞬間でしたね。」
新婦さん担当テーマである“彩”のエッセンスは、エスコートカードにも。ゲストの名前が書かれた上には、数色の絵の具。
その色は新郎新婦がゲスト一人ひとりをイメージして、1枚1枚筆で塗ったものでした。1つとして同じデザインがない、その人のためだけのカードでのおもてなしにゲストは大喜び!
そして式の最後にはそのエスコートカードを活用した素敵な演出も。
新郎さんは並んだエスコートカードを見ながら、「いろんな人生のなかで出会った人に、僕たちは彩を加えてもらいました」と謝辞を述べました。
ふたりの感謝の想いとアートの世界で生きてきたふたりらしさがたっぷりとつまっているこの言葉に、ゲストも感動していたそうです。
生け花やエスコートカードはあくまで演出です。しかし、この演出も軸となるテーマから生まれたもの。だからこそ、演出が新郎新婦の“人となり”としてゲストの目に映ったのではないでしょうか。
出典: THINGS Aoyama Organic Garden.dth
3. ふたりが築き上げてきた、あたたかなつながりも見える結婚式
この結婚式で印象的だったのは、新郎新婦の姿だけではなかったとSプランナーさん。
「これまでプライドを持ってつくってきたものを、私にとっても大切な人たちにふるまえる機会がもらえたのは、THINGS Aoyama Organic Garden.dthの皆さんがいたから。」と、新郎のお父さまに声をかけられたそうです。
「このお米を結婚式でみんなに食べてもらいたい」とふたりから相談を受けたプランナーさんはまず、お米づくりへの想いを新郎さん経由でお父さまにヒアリング。
すると、「アレンジは不要。味をつけずお米本来の味を楽しんでほしい」とのコメントが届きました。
このコメントを踏まえ、新郎さんのお父さまの誇りであるお米を一番おいしく届ける料理についてシェフと相談。
お米本来の味を堪能してもらうには、野菜のマリネを炊きたてのご飯に添えてお出しするのがベストという結論になりました。
そして結婚式当日。その料理を「○○家からの贈り物」という形でゲストに提供し、お父さまが丹精込めてつくってきたお米を使っていることを伝えました。
このことを聞いて喜んでいたのは、新郎さんのご友人。なんでもご友人のみなさんは、本人不在の新郎さんのご実家に遊びに行くほど、お父さまとも深く交流されていたんだとか。
「“おじさん自慢のご飯が、結婚式で食べられるなんて”というご友人の言葉に、ご新郎さまの人柄が見えたんです。この方は多くの人に愛されてきたんだなあと、胸が熱くなりました。」
プランナーさんはそんなご友人と新郎さんのお父さまの関係性を見て、このように感じたとおっしゃいました。
結婚式は人生における1日限定のイベントです。それと同時に、ふたりがここまで歩んでくるのにどれだけの人とのつながりがあったのかを実感する、とても尊い時間だとも思います。
ふたりの大切な人にも寄り添ってつくりあげられた結婚式にはきっと、これから先の未来にもつながる“絆”が見えるのではないでしょうか。
出典: THINGS Aoyama Organic Garden.dth
4. まとめ|結婚式を挙げたからこそ、感じられることがある
最後にプランナーSさんは、笑顔でこうおっしゃいました。
「これまでの人生で大切にしてきた“こと”・“もの”・“人”との出会いをこんなにもしっかりと実感する機会って、日常生活ではなかなかないと思うんです。ふたりで悩みながら一緒に準備を進めた経験も、当日に感じた感動もすべて、結婚式を挙げなければ体験できなかったことです。その体験はきっと、ふたりのこれからの未来にもつながると信じています。」
結婚式準備が大変だと思う瞬間はあると思います。
途中で投げ出したくなることもあるかもしれません。
しかしその体験を乗り越えた先に、ふたりにしかつくれなかった結婚式があります。そしてそのふたりらしい結婚式はきっと、ふたりの夫婦生活の強い土台にもなると、トキハナは思います。