元ウエディングプランナーが結婚式場を独自取材してお届けするトキハナの取材記事。
今回は『花嫁のための結婚式準備マガジン』を書いているライター・クリスが、トキハナのメンバーを逆取材!
聞きたくてもなかなか聞けない結婚式の持ち込みの仕組みについて、深く斬り込みます。
(取材・文:クリス)
目次
1. はじめに|“ふたりらしさ”と持ち込みの矛盾
「ふたりらしい結婚式」
トキハナではもちろん、どんなウエディング関連のメディアでもよく見られるこのワード。私は、このワードと相反する言葉がウエディング業界にはあると感じています。それは「持ち込み不可」です。
「ふたりらしい結婚式をお手伝いします!」と期待させておいて、持ち込み対応がなく満足いく結婚式が挙げられないなんて、矛盾していると思うのです。
しかし私が「花嫁のための結婚式準備マガジン」で記事を書いてきた式場は、比較的持ち込みに寛容な印象があります。
そこで今回は、なぜ結婚式で持ち込みが歓迎されないのか、また持ち込みができる式場にはどんな特徴があるのかなど、トキハナのメンバーに「結婚式の持ち込みの仕組み」について質問をぶつけてみました。
2. 結婚式場の持ち込み条件は緩和されてきている
―― トキハナで紹介している会場は、比較的持ち込みに寛容ですよね? これってウエディング業界全体の流れなのでしょうか?
(トキハナ)
持ち込み料金はいただくという前提の上で、OKとしているところが多くなっているとは思います。
―― じゃあ、昔よく聞かれていた「ドレスの持ち込みができなくて、納得のいくドレスが着られなかった」というような事例は減ってきていると?
(トキハナ)
減っていると思います。特にドレスに関しては、持ち込み不可の会場の方が少なくなっているのではないでしょうか。
―― トキハナの記事の中で地元の食材や実家で作ったお米で作った料理を出したと事例もあったかと思うのですが、食べ物に関しても規制が緩やかになっているのでしょうか?
(トキハナ)
いえ、飲食物はむしろ一番厳しいポイントです。やはり衛生面の不安があるので。
仮にパーティー参加者が食中毒になってしまうと、営業停止しなければなりませんからね。飲食物の持ち込みを許してしまうと、食中毒が出た際の原因追及が難しくなってしまうんです。
―― 式場側が追う大きなリスクを考えれば、そこは仕方のないポイントですよね。
(トキハナ)
それでもレストランウエディングの式場は、割と柔軟に対応してくれる印象がありますね。反対に、ゲストハウスや専門式場になると、飲食物の持ち込みが一気に難しくなるかと。
―― それは意外でした。特にゲストハウスは、自分たちらしい結婚式を自由にカスタマイズできると思っていたので。
(トキハナ)
持ち込みに限らずゲストハウスは、レストランやホテルと違い、結婚式でしか利益が得られないため制約が多い式場形態でもあります。
もしも営業停止を余儀なくされると、結婚式を楽しみにされているお客様に迷惑をかけてしまうことはもちろん、利益が得られなくなるので…。
だからこそ、食中毒に限らずあらゆるリスクを想定したうえで厳しい部分はありますね。
―― 食材以外にも、まだまだ持ち込みが難しいものはあるのでしょうか?
(トキハナ)
お花も難しいですよ。セッティングや搬入ルートの関係上、綿密な打ち合わせが必要になるので、外部の方にお願いしにくいんです。
カメラマンや司会者も同様に、事前の打ち合わせが必ずいるものに関しては、持ち込みはまだまだ難しいですね。
―― それでもトキハナで紹介している式場の中には、持ち込みに寛容だったり、めちゃくちゃ尽力してくれたりするゲストハウスも結構ありますよね。
(トキハナ)
それは、その式場さんが「何が何でもおふたりの想いを実現する」という熱い想いをもって結婚式に臨まれているからだと思います。
またトキハナでは、持ち込みに寛容な式場が柔軟な式場であるとは限らないと考えています。
なぜなら、各式場にはモダンや和風、ナチュラルなどのテイストや旅をテーマにした空間など、こだわりぬかれた「世界観」があるからです。
世界観があるのに、それに合うアイテムがない…ということはあり得ません。むしろ、その世界観のなかでおふたりが輝くアイテムを数多くそろえているはずです。
―― 確かに、その式場の魅力はそこで働く人が一番知っているはずですもんね。
(トキハナ)
持ち込みできるほうが、アイテムの選択肢は広がるかもしれません。しかし、世界観を知り尽くした人たちがセレクトしたものを信頼することで、自分たちの理想を追求しやすくなるのではないかとも思いますね。
―― 真の「ふたりらしい結婚式が挙げられる式場」は、持ち込みの可否だけでは判断できるものではありませんね。
(トキハナ)
持ち込みはあくまで、おふたりの理想を叶える1つの方法ではないでしょうか。
トキハナでは、おふたりがいい結婚式だったと思える時間を届けたいと思っているので、持ち込みも含め、おふたりの理想に寄り添ってくれる式場だけを紹介しています。
―― トキハナに行けば、ふたりの理想に寄り添い続けてくれる式場が見極められそうですね。
3. 結婚式場の気になる持ち込み料の相場は…?
―― ぶっちゃけ、持ち込み料の相場ってどれくらいなんですか?
(トキハナ)
大体1アイテム3~10万円くらいだと思います。特に持ち込み希望が多いドレスだと、1着当たり5万円から8万円くらいはかかる印象です。
―― 持ち込み料合わせても式場でドレスを選んだ方がお得な場合もあるのでは?
(トキハナ)
もちろんそういう場合もあります。ドレスも安いものなら10万円きるものもあるので…。
逆にインポートのブランドドレスになると数十万かかることもざらにありますし。ここは、ドレスに重きを置くか置かないかの違いかなとも思っています。
それから、式場提携のドレスショップを利用する場合、割引がつくことが多いです。なかには最初の見積もりに入っている金額分が割り引かれて、実質無料になることもありますよ。
しかしこれも、ドレスのプラン内容にもよるんです。プラン内のドレスにいいものがあればお得ですし、気に入ったものがなければ差額を払わなければならず、結果高くつくことだってありますし。
―― ドレスにこだわりたくても、やはりできれば安くという気持ちも捨てきれないと思うんです。 そうなったときに、事前に式場のドレスラインナップと持ち込み料を確認出来たら、ある程度予測もできるのかなと思うのですが…。
(トキハナ)
もちろん持ち込みするかもしれないというご相談は、契約前にできると思います。式場のドレスも、どんなブランドのものが選べるのかを聞いたりカタログを見せてもらったりすることは可能かと。
もちろんトキハナのカウンターでも、その式場で選べるドレスのブランドや持ち込み費用などは確認できます。
4. 「何とかします」は鵜呑みにしない
―― ちなみに、式場によってはフェアの担当者と打ち合わせ担当者が異なるところもあるじゃないですか? その場合、フェア担当者が本当はできない持ち込みを「何とかしますよ」と言って契約してしまう、みたいなことはありませんか?
(トキハナ)
悲しいことに、ないとは言い切れません。本当に「なんとかしますよ」と上司に確認せずに言ってしまう人もいるので…。
―― やっぱりあるんですね…。何とかしますって言われたのにできないとなると、契約と違うって訴えられかねませんよね?
(トキハナ)
今はどの式場も、かなりしっかりと文書と口頭で契約内容を説明しています。
「そんな話聞いていない」と揉めることは式場にとってはデメリットになるので、契約に結び付けたいからとルールにないことを簡単にお伝え出来ないんですよ。
なによりお客様も以前と比べ、結婚式への情報をしっかり持たれているので、契約内容に目を光らせていますし。
当たり前のことなんですが、それでも契約に結び付けたいがあまり「何とかします」と言ってしまう人もいるのではないでしょうか。
―― 契約前の何とかしますは、あまりあてにできなさそうですね…。しかし、難しいことは難しいけれども、代替案を出してくれるなど、誠実な式場を見極めるポイントにもなりそうです。
5. まとめ|持ち込みは理想の結婚式をつくるための1つの手段
最近はふたりらしい結婚式が望まれる傾向もあり、結婚式場も持ち込みに寛容になっているようです。
しかし結婚式場もいい結婚式をつくり続けていくには利益が必要なため、大きなリスクにつながる持ち込み対応は回避せざるをえません。
そもそも持ち込みが制限されているからといって、おふたりらしさが叶わないわけではありません。今はどこの式場も、式場の世界観づくりに力を入れています。
だからその世界観が気に入ってその式場を選んだのであれば、そこに用意されているアイテムを活用することで、理想通りの結婚式が挙げられるはずです。
あくまでアイテムの持ち込みは、自分たちが思い描く結婚式を追及するための1つの手段としてとらえておくくらいでいいのかなと、今回の取材を通して感じました。
また持ち込みを含め、あらゆる要望に柔軟な式場かどうかは、WEBや紙面からだけでは読み取ることが難しいと思います。
式場にいく前にブライダルカウンターへ相談すれば、持ち込みをはじめとするあらゆる要望にどれくらい柔軟に対応してもらえる式場なのかを事前に確認できますよ。
また、契約の際に気を付けるポイントがおさえられるので、実際に式場へ足を運んだ際も一歩踏み込んだ質問ができるはずです。