「結婚式は人も場所もあったかくする」街中を使って結婚式を作り上げるウェディングチーム『石巻ウェディング』に聞いた、“完全オリジナル”な結婚式とは

東北宮城県に拠点を置く「石巻ウェディング」という団体をご存知ですか。この「石巻ウェディング」では、既存の会場を持たない「完全オリジナル」で結婚式を手がけています。
今回は「石巻ウェディング」の代表である、豊島栄美さんにインタビューをし、団体発足の背景や実際の結婚式事例についてお伺いしました。
前編となる本記事では、<石巻ウェディングの紹介>をお届けします。
(文:廣田伶愛)

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1. 「石巻ウェディング」の紹介

出典:石巻ウェディング

Q 「石巻ウェディング」とはどんな団体?

「石巻ウェディング」とは、会社ではなく、個人経営や個々のフリーランスが集まった結婚式“チーム”として活動しています。
結婚式は様々なスペシャリストによって作られていくものですが、「石巻ウェディング」の“チーム”も、ヘアメイク/カメラマン/デザイナー/衣装屋/フローリストなど、多くのスペシャリストがそれぞれの結婚式に合わせて結集されています。

Q 会場がない!?「石巻ウェディング」の特徴は?

大きな特徴として、既存の会場や式場を設けていないことが挙げられます。
また、ドラマなどで見るようなチャペルや披露宴会場での立食パーティーといった、一般的な結婚式にもこだわっていません。

「会場どこにする?引き出物は何で包む?招待状の紙から作る?」など、来てくださるゲストの方のお顔を思い浮かべながら、”想い”に寄り添うことを第一に考え手がけています。

出典:石巻ウェディング

Q “型にはまらない結婚式”とは?

結婚式を準備する中で、大事にしたい想いや感謝を伝えたい相手は、10組のカップルがいたら10通りあります。
石巻ウェディングが大切にしている結婚式とは、従来の“型にはまった結婚式”ではなく、担当させていただく個々の結婚式ごとに新郎新婦らしい二人の”想い”を大事にする、0からオーダーメイドで作り出す結婚式です!

Q 大切にしている想いはなんですか?

結婚式をする側もサポートする側も、自己満足だけの結婚式は違うと思います。
大切な人に想いを届けるのが結婚式なので、重要なポイントは「誰に何を」伝えるのか。打ち合わせや準備をする段階から、この人が笑顔になるにはどうしたらいいかな?と考えながら共に手がけていくことを大事にしていますね。

2. 「石巻ウェディング」立ち上げの背景

(写真左)代表・豊島さん/出典:石巻ウェディング

Q なぜ石巻で立ち上げようと思ったのですか?

もともと私は宮城県石巻市出身でした。しかし20代の頃はあまり地元に魅力を感じておらず、関東に上京をしよう!と決め、都内近郊でウェディング関係のお仕事をしていました。

しかし2011年3月11日の震災をきっかけに石巻へ戻って来ました。
その時、震災明けではありますが、街中で「ウェディング」の存在が全く無いことに違和感を覚えたのです。
例えば、東京駅の前では一日5組ほどのカップルがフォトウェディングや前撮りをしているため、生活の中でウェディングが身近にあり、それが当たり前だと感じていたのです。
その違和感をきっかけに、地元である石巻で何かできそうな雰囲気を感じました。

出典:石巻ウェディング

Q 「石巻をウェディングの街にしたい」と考えたきっかけは?

震災明けで、「被災地」としてメディアに取り上げられることも多いです。しかし、「結婚式」のイメージを持ちにくい石巻で育った子ども達は、将来この街で結婚式をしよう、なんて思わないのではないかという不安がありました。
私のように、大人になって都内に上京したとしても、「結婚式は生まれ育った街でしたい!」と思ってほしかったのです。

結婚式とは笑顔や感情が溢れるあったかいもの。人生で一度、大切な人にありがとうが言える場所。悲しい出来事があった場所でも、結婚式が今より身近になれば、その場所もそこに住む人もさらにあったかくなるのではないかと感じました。

出典:石巻ウェディング

Q スタッフのチーム編成はどのように決まったのですか?

いざ結婚式を手がけていこうと思い立っても、へアメイクやカメラマンなど、結婚式を作り出すためのたくさんの“人”が必要でした。しかし当初は回りに専門的知識を持った人が少なく、チームを作り出すことに苦戦しました。

そして石巻の知り合いを通じてなんとか様々な人に声をかけていった結果、一つの叩き上げの”チーム”が完成しました。
すると、彼らは世界に負けないほどのセンスと熱い想いを持っていて、このチームならきっと特別な結婚式が作れるだろうと希望が持てました。

出典:石巻ウェディング

3. 「石巻ウェディング」が考える”オリジナルウェディング”とは

出典:石巻ウェディング

Q 「石巻ウェディング」のオリジナルウェディングとは?

最近巷でもオリジナルウェディングは有名になりつつあると思うのですが、「石巻ウェディング」が大事にしたいオリジナルとは、「誰に何を届けたいのか」ということです。

例えば、結婚式って新郎新婦のご両親は会場の一番後ろだったり、お二人から一番離れた場所にいることが多いですよね。けれど、新郎新婦が「これまで両親にたくさんお世話になってきて、当日は両親への感謝を一番伝えたいんだ」という強い思いがあれば、ご両親のお席を新郎新婦の隣にすることもありました。

「結婚式はこうあるべき」という考えを無くして、参列してくれるゲストのことを想いながら結婚式準備をする過程をとても大事にしていますね。

出典:石巻ウェディング

Q 既存の会場を持たずに、全てオーダーメイドにするのはかなり困難なことも多いと思います。それでもオリジナルにこだわる理由は何ですか?

私たちはすべて0から結婚式準備を行います。
過去には震災後の「危険地域」で行うことも。

そこは水も引けない、道も舗装されていない、決して結婚式には向いていない場所でした。しかし「思い入れのある場所で結婚式をしたい」という二人の気持ちを第一に考えた結果、その場所での開催を決めました。

けれど人が生活することも困難な場所で、「トイレどうする?料理どうする?」という状態に…。
自分たちだけの力では到底難しいと感じ、地元の方のお力に頼りました。最初は危険地域での結婚式開催に否定的だった地元の漁師さんに水を引いてもらうなど、たくさんの方の協力のおかげで無事開催できました。

一般的な結婚式準備では決して関わらないであろう人たちとも関わることができるのも、オリジナルウェディングの醍醐味であると思います。最初は否定的でも、結婚式が終わると「ここで結婚式をしてくれてありがとう」と言ってもらえる。
それが糧ですね。

出典:石巻ウェディング

4. 今後目指しているビジョン

Q 今後の目標などはありますか。

「できない、やれない」と様々なことに我慢が強いられる今、お祝い事も同様に制限されてしまいます。けれどそうやって我慢や制限をしている間に、ご家族や恩師など、大切な方が亡くなられる場合もあります。

大切な人に伝えられる想いは、きっとそのタイミングだからこそあると思うのです。やれないことが多いなら、やれることも増やそう!という思いで活動していきたいなと思いますね。

出典:石巻ウェディング

Q 今後手がけてみたいor予定している結婚式とは

「結婚準備室」を計画しています!
オリジナルだからこそ、こだわりたいものを手作りすることもできるのです。
例えば、招待状を紙すきで作ったり、指輪や当日身につける口紅や香水、蝶ネクタイを作ることもできます。

あとは、先日金婚式に携わらせていただいたのです。金婚式は結婚50周年を祝うのですが、2回目の結婚式のようなイメージで、家族が増えて改めて親族が集まる場がとても暖かく魅力的でした。

出典:石巻ウェディング

5. まとめ

出典:石巻ウェディング

「石巻をウェディングの街にしたい」という想いから、これまでたくさんの結婚式を手がけてきた豊島さん。

結婚式とは、自然と感情が溢れ、たくさんの笑顔を生み出す特別な時間が流れる場です。お祝い事が制限されるご時世であっても選択肢を狭めることなく、常に固定観念にとらわれないチャレンジを続ける姿がとても素敵でした。

後編の記事では『石巻ウェディング』が実際に行った結婚式の詳しい内容を紹介しています!ぜひそちらもチェックしてみてください!

▶︎後編の記事はこちらから

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