“事実婚”を選ぶカップルも増えていますが、「事実婚と法律婚の違いを知らない」「事実婚のメリット・デメリットがわからない」という方も多いのでは?実は、現在独身の筆者もその1人。
そこで今回この記事では読者のみなさんと一緒に執筆を通して事実婚について学び、法律婚・同棲の違いや、事実婚のメリット・デメリット、知っておきたい手続き、事実婚を選ぶ前に二人で話し合っておくべきポイントについて調べていきたいと思います。
(文:三島 莉永)
目次
1. 事実婚とは?「法律婚」や「同棲」とどう違う?
内閣府が令和3(2021)年度に実施した調査結果によると、事実婚を選択している人は成人人口の2~3%を占めていると推察されるとのこと。
メディアでも事実婚を選択するカップルが取り上げられる機会が増えてきました。
※参照:事実婚の実態について(男女共同参画局)
しかし、「事実婚」について詳しく知らないという方もいるはず。
そこでまずは「事実婚」と「法律婚」「同棲」の違いを簡単に解説します。
カップルが婚姻届を提出しないまま、お互いに意思を持って事実上の結婚生活を送っている状態のこと。
法律上では夫婦として認められていないため戸籍は別々で、住民票の続柄欄には「夫(未届)」「妻(未届)」「同居人」などと記載されます。
姓も変更ありません。
役所に婚姻届を提出して、同一戸籍の夫婦となること。住民票の続柄欄は「夫」と「妻」になり、どちらか一方の姓を名乗ります。
子供が生まれた場合は共同親権となり、配偶者控除や遺族年金の受給といった公的制度が認められます。
婚姻関係を結んでいないカップルが同居している状態のこと。
ふたりに結婚の意思があったり、周囲が夫婦であると認識している場合は「事実婚」になりますが、それ以外は「同棲」とみなされます。
2. 事実婚のメリット
事実婚には、法律婚とは異なる以下のようなメリットがあります。
法律婚の場合、民法第750条にて“結婚したふたりは、男性または女性の氏を称する”と定められているため、一般的にはどちらか一方の姓を名乗るようになります。
一方で、事実婚は姓を変更する必要がありません。愛着のある旧姓をそのまま使いながら、夫婦別姓で関係を築いていけます。
なお、法律婚の場合は勤務先で改姓にまつわる手続きが必要となりますが、事実婚であれば姓が変わらないため勤務先での手続きは必要ありません。
中には、キャリア形成の妨げとならないよう、改姓が必要ない事実婚を選択する方もいます。
免許証・パスポート・クレジットカード・銀行口座・生命保険などの名義変更は、事実婚の場合は姓が変わらないため不要です。
法律婚だと数々の名義を変更しなければなりませんが※、事実婚なら手間を省けます。
※2024年9月現在、住民票、マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、不動産登記などは旧姓を併記できるようになっています。
参照:旧姓使用の現状等(男女共同参画局)
法的に婚姻を結んでいなければ、法律に縛られることもありません。ふたりの気持ち次第で、新しいスタイルの関係性を築いていけます。
また、“家”に束縛されず自由でいられるのも事実婚ならではの魅力です。法律婚だと入籍後に相手の家族や親族と姻族関係になるため、付き合いが必要となりますが、事実婚の場合は家に縛られず、フラットな関係性を継続できます。
もし夫婦関係を解消したとしても、事実婚であれば戸籍に影響が及びません。
法律婚は法的な手続きが必要ですが、事実婚は不要です。事実婚の関係性は、ふたりの気持ち次第。婚姻届を提出する必要もなければ、離婚届も提出せずに関係を解消できます。
法律婚の場合は離婚届を提出すると戸籍に離婚した旨が記載されますが、事実婚であれば記録が残りません。
3. 事実婚のデメリット
反対に、事実婚にはデメリットもあります。事実婚を検討している方は、メリットだけでなくデメリットもあらかじめ確認しておきましょう。
事実婚は法的に婚姻を結んでいないため、各種税金の控除(配偶者控除・扶養控除・医療費控除)が認められません。
また、法律婚の場合、会社によっては福利厚生で“家族手当”を受給できますが、事実婚だと受給を認められないケースが多いようです。
社会保険の扶養に入れば健康保険料の免除や、国民年金の第3号被保険者になることは可能ですが、「事実婚の関係」と「生計を同一にしていること」の証明が必須となります。
事実婚のカップルの間に生まれた子供は、「婚外子(非摘出子)」となります。
子供は自動的に母親の戸籍に入るため、父親との親子関係を法的に認められるためには手続きの上、“認知届”の提出が必要です。
法的に親子関係が認められていないと、子供は父親から扶養や相続を受けられなくなってしまいます。
事実婚の場合、たとえどれだけ長く一緒に暮らしていたとしても、遺産を相続する権利“相続権”はありません。
遺言書を作成しておけば財産を残すことも可能ですが、事実婚の場合は相続税が2割加算されます。また、もし亡くなったパートナーに家族がいるなら、遺産について相続争いが起こる可能性も否定できません。
リスクを回避するためには、財産や資産は名義を半分ずつにしておく必要があります。
原則として、事実婚の相手を生命保険金の受取人には指定できません。
保険会社によっては条件を満たせば保険金の受取人として認められる場合もありますが、一親等の親族以外の相続税は2割増しになるため、法律婚よりも税負担が重いです。
また、もしパートナーが急病・ケガで入院や手術が必要となった場合、事実婚だと同意書へのサインが認められないことも珍しくありません。
病院によって対応は異なりますが、代理手続きが可能でも、夫婦関係を証明するものや委任状が必要となるケースが多いです。
4.幸せな事実婚のために知っておきたい手続き
続いて、事実婚のために知っておきたい5つの手続きをご紹介します。
まずは夫婦関係の証明をしやすいように住民票の記載を変更しましょう。
ふたりで同一の世帯にした上で、世帯主との続柄を“妻or夫(未届)”もしくは“妻or夫(世帯主)”とすれば各手続がスムーズに行えます。
なお、続柄の変更は、以下のどちらかの方法で申請します。
世帯合併の手続きを行い、世帯主でない方の続柄を変更する。
世帯変更届を提出し、同居人の続柄を変更する。
公正証書とは法務大臣によって任命された公証人が作成する公文書で、事実婚にあたって約束したことを記載する契約書として役立ちます。
公正証書は後々のトラブル防止に効果的なだけでなく、ローンの手続きや入院・手術で代理手続きをする際にも役立ちます。ただし、公正証書の作成は公証人への依頼が必須。作成費用は約2~10万円かかります。
※参照:公証人とは(日本公証人連合会)
パートナーシップ制度というと同性カップルに向けた制度と思われがちですが、自治体によっては異性の事実婚カップルも対象としているケースがあります。
パートナーシップ制度を利用すれば婚姻と同等の関係であると認められますし、宣誓書や確認書・公正証書などが交付されれば各種手続きをスムーズに行えます。
先述したように、契約者が死亡した際に支給される生命保険金は、事実婚の夫・妻を受取人に指定できません。
ただし、保険会社が定める諸条件を満たせば指定できるケースもあります。万が一の事態に備えてパートナーを受取人に指定したいという方は、契約時に必ず条件等を確認しましょう。
マイホームを購入する予定であれば、“金銭消費貸借契約書”などを作成しておきましょう。
法律婚の場合は共有名義で住宅ローンを組めますが、事実婚だと返済を夫婦で分担していても共有名義でローンを組めません。
どちらか一方の名義でローンを組まなければならないため、後々トラブルに発展してしまう恐れがあります。
5.事実婚を選ぶ前に話し合っておくべきこと
幸せな事実婚のためにはふたりで話し合っておくべきことがあります。あらかじめ以下のポイントについて話し合っておきましょう。
親しき仲にも礼儀あり。生活費や家賃の分担はもちろん、パートナーとは夫婦共有の財産や銀行口座の名義を変更するか否かなども話し合っておきましょう。
法律婚と違って事実婚は法律に縛られません。しかし、お金のルールを明確にしておかないと後々トラブルに発展する恐れがあります。
今後子供が生まれた場合を考えて、父親の認知についても明確にしておきましょう。
事実婚カップルは子供が生まれても親権を持つのは母親のみ。父親と子供の親子関係は成立しません。認知した場合には、役所に認知届を提出する必要があります。
事実婚カップルの場合は相続権がないため、相手に財産を残すためには遺言書の作成が必要となります。
遺言書は法律で定められた形式に則って作成しなければなりません。自分で書く“自筆証書遺言書”は印鑑が押されていないなどの理由で効力が失われることも多いです。
もしものときに備えておきたいという方は、公正役場にて手続きして預かってもらう“公正証書遺言”を作成しましょう。
まとめ|二人で納得するまで話し合って後悔のない選択を
“なんで結婚ではなく事実婚を選ぶの?”
事実婚を選ぶカップルも増えてきましたが、このような疑問を抱えている方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、今回ご紹介したように、法律に縛られずにいられたり、面倒な名義変更の手続きが不要だったりと事実婚ならではのメリットもあります。
現在独身の筆者もこの記事で事実婚のメリットを知り、正直衝撃を受けました。“ふたりで一緒に生活すること=結婚”というわけではありません。結婚に不安を抱えているという方は、事実婚という選択肢があることを知っておくと良いかもしれません。
ただし、事実婚を選ぶ際には記事内でご紹介したデメリットを把握して、各種手続きや話し合いをしておくことが大切です。二人で納得するまで話し合って後悔のない選択をしましょう。
幸せな事実婚のためにも、ぜひこの記事を参考に検討してみてくださいね。
トキハナでは、すべてのカップルに心から満足できる結婚式を挙げてほしいから、新郎新婦の不安をトキハナてるように、心をこめて式場選びをサポートしています。
- トキハナで結婚式場を探すメリットとは?
-
結婚情報誌ではわからないリアルな見積りや評判がわかる
元プランナーが厳選した結婚式場のみで安心
持ち込み自由な結婚式場多数(対象外の式場あり)
LINEで夜22時まで何でも相談OK!様々な診断を通してぴったりの式場が手軽に見つかる
トキハナのフェア予約で「即決不要の最低価格保証」付き
元プランナーの見積りチェックも◎
式場決定後は、準備ノートや振り返りムービー&個別サポートで準備期間も楽しめる
▼詳しくはこちら
トキハナの式場予約が【どこよりもお得&安心】な理由
結婚式や式場の気になることを「ちょっとだけ聞いてみたい」という方は、LINE相談がおすすめです。LINEで質問すると、AIではなく元ウエディングプランナーのスタッフから回答が届きます。
結婚式をするか迷っている場合も、お悩みに合わせて元プランナーがお応えいたします。ぜひ気軽にご利用ください。