結婚するとなると大変なのが、氏名変更のための各種手続き。そして、その手続きのほとんどに必要なのが印鑑です。
わざわざ休みをとって窓口まで行ったのに、「あっ、印鑑…!!」なんて事態は避けたいもの。
そこで本記事では、結婚するにあたり作っておきたい印鑑と、作成する際のセキュリティ対策についてご紹介します。
(文:まゆ)
目次
1.新しい姓の印鑑、使い始めるのはいつ?
結婚準備が本格的に始まると、いろいろな手続きに追われて一気に多忙を極めることに。せめてできるだけダンドリよく、スムーズに手続きをクリアしていきたいですよね。まず用意したいのが、新しい姓の印鑑です。
そこで浮上するのが「いつまでに準備しておけばいい?」というギモン。それにお答えする前に、まずは新しい姓の印鑑が必要になるシーンについて見ていきましょう。
【役所での手続き】
①印鑑登録
②婚姻届受理証明書(*)の申請
③転入届の提出
④国民年金の氏名変更
⑤国民健康保険の氏名変更
※2020年11月に政府の号令で役所での認印廃止が決定的となったため、今後②〜⑤のシーンでは印鑑が必要なくなっていくと考えられています。
(*)婚姻届の提出後、新しい戸籍が出来上がるまでに戸籍謄本の代わりとして使える公文書。法的に夫婦関係を証明できる。
役所での手続きに印鑑が必要になるケースは今後減りそうですが、以下のように社会生活を送る上ではまだまだ印鑑は必要と言えそうです。
【民間事業者との手続き】
・銀行口座の氏名とともに印鑑も変更する場合
・保険関係の氏名変更
・不動産関係の契約
・自動車検査証の氏名変更
・宅配便や書留の受け取り
これらの他にも、実名での押印が必要な公的文書の提出には新姓の印鑑が必要です。
この中で最初の手続きは、婚姻届の提出とともに行う「婚姻届受理証明書」の申請。つまり、新しい姓の印鑑は「婚姻届を出す前」に作っておけば安心です。
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ただ、印鑑には実印・銀行印・認印の3種があり、「どう違うの?」「どんな時にどれが必要?」などをよく知らない人も多いもの。実印・銀行印・認印にはそれぞれ適切な使い方や作り方があり、それを知らないとセキュリティ面に支障をきたすこともあるので注意が必要です。
安心・安全に印鑑を使うために、ここからは、それぞれの印鑑の特徴と作り方を見ていきましょう。
2.作るべき印鑑の種類①実印
実印とは、役所で印鑑登録をし、法的に効力を持つ印鑑のことです。「間違いなく本人が手続きした」と証明できるものであり、印鑑の中でもとりわけ重要な役割があります。
以下のように、高額な取引にまつわる契約書へ押印を求められることが多いのが特徴です。そのため、実印は一人につき1本しか作ることができません。
・不動産や自動車の売買契約
・ローンを組むとき
・遺産の相続
・保険加入・保険金受け取り
実印はほとんどの市町村で「フルネーム」・「苗字のみ」・「名前のみ」いずれでもOK。夫婦のうち、苗字が変わる方は「名前のみ」で作る選択肢もありますが、セキュリティ面が気になる人は偽造しにくいフルネームがオススメです。
2-1.実印は夫婦二人とも作成がベスト
ここまで見てきて、実印は「高額な金銭を支払うor受け取る本人であること」を証明するシーンで押印が求められることがわかります。新生活にあたり、車や住居など高価な買い物が増える中では、少なくとも夫婦のうち大黒柱となる方の実印はマスト。
ただし、共同名義での購入やローン組みの場合は、二人の実印が必要です。将来的には遺産相続や保険金受け取りにも必要なことから、自立した将来設計のためにも、実印は二人とも自分名義のものを作っておくのがオススメ。
入籍後は何かと急を要する手続きが多いため、持っていないならすぐにでも用意しておきたいアイテムです。
3.作るべき印鑑の種類②銀行印
銀行印とは、銀行その他の金融機関に印影を登録している印鑑のことです。口座の開設や預金の引き出しの他、以下のようなシーンで押印が求められます。
・氏名・住所・支店など、届出内容の変更
・小切手や手形の発行
・クレジットカードの申し込み
・光熱費などの引き落とし口座の開設
実印と違い、銀行印は一人で複数本作ることができます。管理は必要になりますが、セキュリティを重視したいなら金融機関ごとに使い分けるのも◎。
作り方は実印と同じく、「フルネーム」「苗字のみ」「名前のみ」いずれもOKです。
3-1.夫婦のうち姓が変わる方は作成するのがオススメ
銀行での印鑑の照合は名前そのものではなく、登録されている印鑑と印影が一致するかを確認しています。そのため「姓が変わっても旧姓印のままでOK」とする金融機関もあり、新姓の銀行印は必ずしも必要とは限りません。
ですが、そういった金融機関でも窓口では改印を求められたり事情を聞かれたりすることもあり、銀行口座の名義を変えるタイミングで印鑑も変更しておくのが最もスムーズと言えそうです。結婚前に銀行に登録した印鑑が「フルネーム」や「苗字のみ」なら、実印と同じタイミングで作っておくと安心です。
4.セキュリティ面で実印・銀行印の兼用は避けた方が◎
ここまで見てきて、「ちょっと待って、実印と銀行印を同じハンコにしている人もいるけど…?」「夫婦で1つのハンコを兼用している人もいるけど…?」そんな疑問を持った人もいるのでは?
確かに、実印と銀行印を同じ印鑑で登録することは可能です。さらに、1つのハンコで複数の名義の口座を作ることも可能なので、夫婦での兼用もできなくはありません。
ただ、どちらも万が一盗難・紛失があった場合はリスクが倍増してしまうデメリットが。セキュリティ面を考えると、自分名義の口座には自分専用の印鑑を使うのがベストと言えるでしょう。
5.作るべき印鑑の種類③認印
認印とは実印・銀行印以外の印鑑のことで、主に「認めます」「承りました」の意を示す時に利用します。普段の生活で一番活躍シーンが多く、宅配便などの受け取りの他、以下のような場面で使われています。
【役所への各種申請・届出】
・国民健康保険・国民年金の手続き
・住民票や戸籍謄本の申請
・婚姻届・出生届
※2020年11月に政府の号令で役所での認印廃止が決定的となったため、今後は認印制度は徐々になくなっていくと考えられています。
【ビジネスシーン】
・履歴書作成
・ビジネス文書の署名
・社内の回覧や事務作業
認印は、実印や銀行印のようにどこかへ登録する必要はありません。本数・サイズ・作り方にも特に制限がなく入手しやすい反面、重要なシーンでは使えないことも多いのが特徴です。
銀行印や実印を認印として使う人もいますが、これもセキュリティ面を考えるとオススメできません。実印・銀行印ともに大きな金銭が絡む重要なシーンで使用するものなので、日常的に押印することの多い認印と同じだと、印影から偽造されてしまうリスクがあるからです。
5-1.認印は夫婦でシェアしてもOK
認印は簡単に入手できる上、「認印でOK」とされる書類はサインで代用できることも多く、そこまで作成を急ぐ必要はありません。
さらに言うと、夫婦のどちらか一方がすでに認印を持っていて自宅に置いておけるなら、それを二人で共有してもOKです。
5-2.実印・銀行印とセットで購入すれば割引も
「認印は100円ショップでも安く購入できるし、わざわざ印鑑専門店で作らなくてもいいかな」と思った人もいるかもしれませんね。
ただ、「簡単に入手できる=簡単に偽造できる」のは否めません。認印とはいえ印鑑としての効力はあるので、認印も印鑑専門店に作ってもらうのが一番安全です。
多くの印鑑専門店では、銀行印・実印とセットで購入すると割引になることも。お得かつ万全の印鑑作成をしたいなら、セット割引を利用するのもオススメです。
6.印鑑専門店?100均?どこで手に入れるのが正解?値段の相場は?
ここまでを踏まえ、実印・銀行印・認印のいずれも印鑑専門店での作成がベストと言えます。というのも、100均などで買える安価な印鑑にはこんなデメリットも。
・プラスチック素材のものが多く、耐久性が低い
・大量に流通しているため、悪用されるリスクが高い
・印影の質が低く、押印するとぼやけるものも多い
ビジネスシーンで使うことも多いならなお、結婚を機にきちんとした認印の作成をしてもいいかもしれませんね。
ちなみに、以下が価格の相場です。
・印鑑専門店:5,000円~2万円
・インターネットショップ:2~3,000円
・文具店:300円~1,000円
※購入する店舗によって、印鑑1本のみの相場から実印・銀行印・認印のセット価格相場まであります
印鑑専門店やネットショップでは作成に数日〜1週間かかることが多いですが、最近は「即日作成」「即日出荷」などをうたっているお店も。入手しやすくなってはいますが、入籍にあたり早めに調べておくことをオススメします。
7.まとめ|3種とも印鑑専門店に依頼がベスト。安心安全な新生活を!
ここまで実印・銀行印・認印の役割やルールを見てきました。ここで、要点をおさらいしておきましょう。
- ポイント
-
新姓の銀行印・認印の作成はマストではないものの、あれば手続きがスムーズに
セキュリティ面で実印・銀行印・認印の兼用はリスクあり。それぞれ入籍前に作っておくのがオススメ
全て100均でも購入可能ではあるが、クオリティとリスクを考えると印鑑専門店への依頼がベスト
結婚を機に、資産や動かす金額は増えることが多いもの。今までよりもよりセキュリティ面に気を配ってソンはありません。印鑑の作成タイミングと作り方に気をつけて、新生活を万全にスタートさせてくださいね!
*本記事は2021年11月時点の情報をもとに作成しています
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