【この記事のポイント】
●共働き夫婦の家づくりは「広さ」よりも家事がラクになる動線設計が重要
●回遊動線・ファミリークローゼット・ランドリールームなど時短につながる間取りを解説
●洗濯・収納・買い物がスムーズになる家事ラクアイデア7選を紹介
●SNSで人気でも要注意!後悔しやすい「なんちゃって時短動線」も紹介
●間取りを決める前に夫婦で話し合いたいポイントがわかる
目次
1. なぜ共働き夫婦の家づくりは“動線”が重要なのか
お互い毎日時間に追われている、共働き夫婦。自宅でプライベートなひとときを寛ぐためにも、無駄はなるべく省きたいですよね。
忙しい家庭ほど、自宅での移動の無駄はストレスになるもの。
仕事に専念するためにも、ストレスフリーで過ごすためにも、自宅の“動線”には注意したいところです。
自宅内の動線が悪いと、具体的に以下のようなトラブルが発生する恐れがあります。
「洗濯物を干すために、毎回2階へ持って行かなければならないのが苦痛…」
「帰宅後の荷物置き場がなく、リビングが散らかってしまう!」
「キッチンとパントリーが離れているため、料理に時間がかかりがち」
「脱衣場・洗濯乾燥機・クローゼットが全て離れているため、行ったり来たりしなくてはならない…」

1日数秒のムダでも、積み重なればストレスの蓄積に繋がりかねません。
特に、共働き夫婦の場合は、お互い時間と心に余裕がなくなってしまうと夫婦喧嘩にも発展してしまう恐れがあります。時短動線を導入することは、家事の効率化だけでなく、夫婦喧嘩の減少やストレスの軽減にも繋がるのです。
また、家づくりにおいて動線を重視する理由はもう1つあります。
例えば、結婚後の家づくりではクローゼットの収納量を重視する方が多いですが、共働き夫婦においては“収納場所”の方が重要です。
収納量は断捨離したり、あとからレンタル倉庫を借りたりといった対策がとれますが、“収納場所”の配置はそうもいきません。
あとから間取りを変えるのにはお金も時間もかかってしまいます。
そのため、後悔のない家づくりのためにも、忙しい共働き夫婦は“時短動線”を意識することをおすすめします。
2. まず考えたい!時短動線の基本3つのルール
とはいえ、“時短動線”って具体的にどんな設計を指すの?
そう感じる方も多いでしょう。そこで、続いては家事の効率化に繋がる、時短動線の基本的なルールを3つご紹介します。
「回遊動線」で行き止まりをなくす
まず意識したいのは「回遊動線」です。
「回遊動線」とは、複数の部屋や空間を家の中をぐるりと回って行き来できる間取り。
行き止まりがないため、家の中で無駄な移動をせずに済みます。
例えば、キッチンをぐるっと回れる間取りなら無駄なく移動できますし、複数人での調理もしやすくなります。

リビングやパントリーを通り抜けられるようになっていれば、複数出口があるため、家族が行き交ってもぶつかりにくいでしょう。
また、洗面所やウォークインクローゼットなどを通り抜けられる設計にすれば、朝の支度渋滞を防げます。
“ながら家事”できる配置を意識する
2つのことを同時に進められる“ながら家事”が可能な配置を意識することも重要です。
例えば、ランドリールームとキッチンが隣り合っていれば、料理を煮込んでいる間に洗濯機を回したりと、隙間時間を有効活用できます。
他にも、カウンターキッチンにしてリビングの様子を確認できる設計にするのもおすすめです。キッチンで調理しつつ、リビングで遊ぶ子どもの姿を見守れます。
「使う場所の近くに収納」を徹底する
収納スペースに関しては、「使う場所の近く」に設置しましょう。
玄関・リビング・キッチン…。それぞれのスペースで使うものを、近くに収納できると取り出しやすいだけでなく、“片付けやすくなる”ため掃除の頻度を減らせます。
散らかりにくい家を作れば、掃除をする回数が減り、キレイな空間で過ごせるようになるためストレスも軽減するでしょう。
例えば、玄関近くに収納スペースがあれば、靴や傘などお出かけに必要なアイテムをサッと収納できて便利。

急いでいるとき玄関に散らばっている物に躓いてしまう…なんてことも防げますよ。
3. 時短につながるおすすめ間取りアイデア7選
続いて、時短につながる間取りアイデアを7つご紹介します。家事の手間を減らすアイディアをセレクトしましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ファミリークローゼット
ファミリークローゼットとは、家族全員分の衣類や荷物をまとめて収納する収納スペースのこと。
荷物を集約して管理できるだけでなく、乾いた洗濯物をまとめて収納し、着替えも1箇所で完結できるというメリットがあります。

家族全員分の洗濯物を各部屋に戻す手間を削減できるため、家の中を行き来する必要はありません。
特に、洗面室からファミリークローゼットへ出入りできる設計にしておけば、洗面室で洗濯・乾燥した衣類を収納しやすいだけでなく、洗面室で身だしなみを整えた後すぐに着替えられるため、朝の身支度も短縮できますよ。
▼ファミリークローゼットはリノベ派にも人気
ランドリールーム+室内干し
ランドリールームと室内干しできるスペース(インナーテラスなど)は、共働き家庭の必須級設備です。
天候に左右されることなくどんなときでも洗濯・乾燥できるスペースがあれば、「仕事の制服が乾いていない!」「乾いたタオルが尽きてしまった…」なんて恐れもありません。

なお、ランドリールームと室内干しできるスペース(インナーテラス)、そしてクローゼットは近くに配置するのがおすすめです。
この3つを近くに配置しておけば、“洗濯→乾燥→畳む→収納”といった一連の動作をスムーズに行えて便利。近距離で洗濯全般の作業を終えられます。
▼インナーテラスは最初から作っておくのがオススメ
玄関〜パントリー直結動線
玄関からパントリーまで直結できる動線にすれば、買い物後や玄関先で荷物を受け取った後の動作が圧倒的に楽になります。
例えば、パントリーが玄関とは正反対の場所にある場合、重い荷物を持って廊下を移動しなければなりません。
米や飲料水などの重たい荷物の運搬に、苦労した経験のある方も多いのではないでしょうか?
その点、玄関とパントリーが直結していれば移動の手間も、労力も必要ありません。買ってきた荷物や玄関で受け取った大きな荷物をスムーズに収納できます。

特に、買い物をするときスーパーやネットで食料品や日用品をまとめ買いする派の方と相性が良いですよ。
対面型キッチン
対面型キッチンは開放的なだけでなく、広々としているため複数人で使いやすく、リビングに面しているため配膳・片付け効率がUPするというメリットもあります。
調理や配膳を複数人で分担できれば時短につながりますし、食後の片付けもスムーズに行えて便利です。

加えて、対面型キッチンはリビングに面しているため、子どもとのコミュニケーションも取りやすいのも魅力。
調理の最中も子どもの様子を確認できますし、リビングに面していて声が通りやすいため調理や後片付け中も気軽に会話を楽しめますよ。
玄関近くの洗面台(ただいま手洗い動線)
近年、コロナ禍をきっかけに注文住宅のリクエストとして増えたのが、玄関近くに洗面台を設ける“ただいま手洗い動線”。
帰宅してすぐに手を洗えるため感染対策になるだけでなく、子供の手洗い習慣も身に付きやすいとして注目されています。

また、“ただいま手洗い動線”は来客時にも便利です。
来客をわざわざ洗面所まで案内する必要もありませんし、洗面所と脱衣所が一緒になっている場合、プライベートな部分を見せずに済みます。
リビング学習&ワークスペース
子どもがいる&将来的に出産を検討しているなら、リビングの一画に学習・ワークスペースを設けてみるのもおすすめです。
例えば、リビングの一画を敢えてくぼませて半個室っぽくしたり、壁側に長めのカウンターや収納棚を設けたりすれば、子供が小さいときは開放的な学習ペースとして、将来的にはワークスペースとして使えます。

子供部屋とは違い、リビングに学習スペースを設ければ家事をしながら子供が頑張っている様子を見守れますし、困っていることや悩んでいることにも気付きやすくなります。
子供も自身の部屋にこもりすぎなくなるため、コミュニケーションもとりやすくなるでしょう。
“置き場”を決めた玄関設計
家づくりの際には、実際の生活をイメージすることが重要です。
そのため、玄関においては荷物の“置き場”を決めて設計しましょう。
前述した通り、片付けやすく散らかりにくい家は掃除の頻度を最低限に抑えられますし、ストレスを軽減できます。
例えば、玄関にバッグや宅配物を置ける棚を設置したり、上着やレインコートを掛けられるスペースを設けたり、壁を敢えてくぼませて鍵や時計を置けるスペースをつくったり…。

「とりあえずその辺に置く」を防げれば、散らかりにくい家になり、家事の時短につながります。
4.実は後悔しやすい“なんちゃって時短動線”
SNSやネット上では、日々様々な間取りアイデアが発信されていますが、中にはかえって不便になってしまう場合もあるため要注意。
「時短動線だと思っていたけど、実際に住んだら生活しにくい…」「なんか思っていたのと違う…」なんてことになりかねません。
実際に住んでみたあと後悔しやすい間取りは以下の通りです。
おしゃれ優先な間取り
“せっかく注文住宅を建てるなら、おしゃれな雰囲気にしたい!”
そう思う気持ちはわかりますが、おしゃれを優先しすぎると生活しにくい・使いにくい家になってしまう恐れもあります。
■例1:吹き抜け構造
複数の階が吹き抜けになっている構造は見た目がおしゃれで開放感も抜群!
天井が高く空間が広く見えるというメリットがありますが、スペースが区切られていない分、冷暖房の効率が悪化してしまうというデメリットがあります。
■例2:アイランドキッチン
海外でよくあるアイランドキッチンは回遊性に優れていて一見実用的に思えますが、生活感が隠せず常に片付けが必要となる一面も。
平均面積の狭い日本の住宅では、同じ対面型キッチンでも、左右どちらかが壁に接している“ペニンシュラキッチン”の方が省スペースかつ実用性も高いとして人気です。

おしゃれ>実用性な間取りや、SNSをそっくりそのまま真似した間取りは後々後悔につながりやすいため注意しましょう。
何のための回遊動線か意識できていない間取り
家事を時短するためには“回遊動線”が重要だとご紹介しましたが、ただ通路や設備を増やせばいいというわけではありません。
■例1:通路を増やし過ぎる
動線確保を意識して通路を増やし過ぎてしまうとLDKが狭くなったり、エアコン効率が悪くなったりといった弊害が生じる恐れがあります。
快適に生活するためには、必要スペースの確保や扉の設置、空気の通り道を計算した間取りの工夫が必要です。
■例2:配置ミス
せっかく通り抜けられるつくりで大容量の荷物を収納できるファミリークローゼットをランドリールームの隣に設けても、洗面所が遠いと効率的に身支度を整えられません。
乾いた洗濯物の収納はしやすいかもしれませんが、顔を洗って着替える際、離れた場所にあるファミリークローゼットまでわざわざ移動する手間がかかってしまいます。

回遊動線は、“何のための動線か”を決めずに採用することが重要です。後悔のないよう、間取りは慎重に決めましょう。
5. 間取りを考える前に夫婦で話し合うべきこと
最後に、結婚後の家づくりにおいて、間取りを考える際に最も大切なポイントを解説します。
時短を叶える家を建てるなら、まず夫婦で以下の項目について考えてみましょう。
この際に重要なのは、“理想の家”より“現実の生活”を基準にすること。
ぜひ以下の項目をチェックし、時短の叶う暮らしやすい家づくりに励んでくださいね。
◆家事分担
家事の分担の仕方により、適した間取りも異なるもの。
もし夫婦2人で料理するならぶつからないよう広めのキッチンが必要です。
◆朝の動き
例えば、どちらかが朝にシャワーを浴びるなら、浴室近くにファミリークローゼットを集約しておくと準備をスムーズに済ませられます。
◆洗濯頻度
洗濯頻度が多いなら、脱衣所やランドリールーム、インナーテラス、ファミリークローゼットを集約するのがおすすめです。
洗う・干す・畳む・収納をスムーズに行えます。
◆在宅ワークの有無
どちらかが在宅ワークなら1ヵ所、夫婦二人とも在宅ワークの可能性があるなら作業スペースが2ヵ所必要となります。
また、在宅ワークの頻度も重要です。
基本在宅ワークなら防音仕様の個室を設けるのもおすすめですが、たまに在宅ワークをするくらいならリビングの一画にワークスペースを設けても良いでしょう。
将来の子育て
将来的に子育てを検討しているなら、子供部屋の確保や余裕を持ったファミリークローゼットの設計はもちろん、仕事・家事・子育てを両立させるための時短設計が欠かせません。
今後どんな家庭を築いていきたいか、間取りを決める前に話し合っておきましょう。
6.まとめ|“時短できる家”は毎日のストレスを減らしてくれる
ご紹介したように、動線設計は暮らしやすさに直結します。効率的に移動できたり、散らかりにくい設計の家は時短につながります。
間取りによって過ごしやすさが左右されるといっても過言ではないでしょう。
自分たちで間取りを考えて生活に沿った設計を叶えられる注文住宅は、いわば“生活改善ツール”。今後の生活に大きく影響しますので、家づくりの際にはまず夫婦で話し合う必要があります。
その際は、おしゃれさだけでなく実用性を重視することも忘れずに。「せっかく注文住宅を建てるなら見た目にこだわりたい!」という気持ちはわかりますが、ストレスフリーな暮らしのためには、実際の生活をイメージして実用性も考慮しなければなりません。
家づくりで後悔しないためにも、間取りを決める際は夫婦でよく話し合ってから実用性を重視した設計にしましょう。
この記事を書いた人:三島 莉永
「トキハナmagazine」ライター。全国の式場紹介・取材記事の他、30代のリアルな視点から結婚後の住宅購入・保険などに関する情報も発信しています。
記事監修:トキハナ
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